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高年齢者の雇用安定について

こんにちは、スタッフの原島です。
先日テレビで現役で活躍中の85歳の時計修理の職人さんが
取り上げられていましたが
最近は60代はもちろんのこと
70代、80代になっても元気でいきいきとされている方が非常に多いですね。

 

平成25年4月より急速な高齢化の進行に対応し、
高年齢者が少なくとも年金受給開始年齢までは
意欲と能力に応じて働き続けられる環境の整備を目的として
高年齢者雇用安定法の一部が改正されました。

 

これにより、
厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢の引き上げに伴い
無年金、無収入となる者を生じさせないことを目的として
継続雇用制度の対象者を労使協定により限定できる仕組みを廃止し、
原則、希望者全員を65歳まで雇用することが義務付けられました。

 

高年齢者雇用確保措置関係に関して
よくある疑問点の中からオフィスイトウが得意分野とする
就業規則についてピックアップしたいと思います。

 

「就業規則において、継続雇用しないことができる事由を、
解雇事由又は退職事由の規定とは別に定めることができるのでしょうか」

 

法改正により、継続雇用制度の対象者を
限定できる仕組みが廃止されたことから、
定年時に継続雇用しない特別な事由を設けている場合は、
高年齢者雇用安定法違反となります。
ただし、就業規則の解雇事由又は退職事由と同じ内容を、
継続雇用しない事由として、別に規定することは可能であり、
例えば以下のような就業規則が考えられます。

 

就業規則の解雇事由又は退職事由のうち、
例えば試用期間中の解雇のように継続雇用しない事由になじまないものを除くことは差し支えありませんが
解雇事由又は退職事由と別の事由を追加することは、
継続雇用しない特別な事由を設けることになるため、認められません。


【就業規則の記載例】
(解雇)
第○条 従業員が次のいずれかに該当するときは、解雇することがある。
(1) 勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、従業員としての職責を果たし得ないとき。
(2) 精神又は身体の障害により業務に耐えられないとき。
(3) ・・・・・・

 

 

(定年後の再雇用)
第△条 定年後も引き続き雇用されることを希望する従業員については、
65歳まで継続雇用する。
ただし、以下の事由に該当する者についてはこの限りではない。
(1) 勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、従業員としての職責を果たし得ないとき。
(2) 精神又は身体の障害により業務に耐えられないとき。
(3) ・・・・・・


 

 

高年齢者雇用の労務管理上の留意点として、
再雇用を希望する者についての意思確認を
少なくとも60歳到達の1年前に実施し
賃金額の見通しや年金受給額の見通しを説明したうえで
フルタイム勤務かパートタイム勤務かの希望を聴取すると良いと思います。
(定年前2~3カ月前になった段階で
最終的な本人の意思確認をしておくと確実です)

 

また、再雇用しない事由に解雇と同じ要件(合理的な理由と社会的相当性)が求められるとすれば
遅くても定年3ヵ月前には通知をするべきかと思います。

 

他にも高年齢者の雇用安定にむけて
労務管理をしていくうえでのポイントがいくつかありますので
就業規則作成、その他のご相談につきましては
ぜひ伊藤経営労務事務所(オフィスイトウ)へご相談ください。