オフィスイトウのブログ

052-265-6806

名古屋市・愛知県・岐阜県・三重県で
活動している社会保険労務士です。

お問い合わせはこちら

ブログ

車両規定について

こんにちは、代表の伊藤です。

新年度に入り新卒や中途採用など新しい風が入ってきたこともあり就業規則をきちんと見直したいという会社が増えています。その中でもこれまであまり重要視していなかった車両の管理をしっかりと整備したいという相談を受けます。

 

打ち合わせの時によく次のような質問を受けます。

 

【質問】
従業員が不注意によって車両事故を発生させた場合、何か罰則を設けたいと思います。どのように定めることができますか。

 

【回答】
懲戒処分や車両の使用中止、実損害額を超えない範囲での損害賠償請求をすることも可能です。しかし、定額の罰金を徴収するような罰則を設けることは出来ません。

 

【解説】
車両事故に対する懲戒・制裁を行なう際は、安全運転に関する服務規定違反とされることが一般的と思われます。
社有車を使用する許可基準を設けた上で、事故の程度に応じて社有車の使用を禁じるなどのペナルティを課すことは問題ありません。
損害賠償については、労働基準法において賠償予定の禁止が定められているため、罰則金や賠償させる額をあらかじめ具体的に規定することは出来ません(例えば、車両事故を起すと10万円の罰金というルールを定めることは出来ません。)。そもそも、事故ごとに発生する損害の規模が異なることを考えると、あらかじめ詳細に罰則金額を規定することも難しいと思われます。

 

しかし、賠償額を具体的に規定せず、事故を起こした従業員に対し損害賠償を請求することは可能です。
具体的な額を予め明示することは禁止されていますが、労働者の不法行為などによって現実に損害を被った場合、その実損害額に応じて賠償を請求することは差し支えないとされています。

 

なお、事故や交通法規違反の種類や程度を基準として罰則を決定するのではなく、当事者である従業員の過失割合によって決定することが社会通念上相当であると考えられます。

 

よって、車両管理規定などに記載する文言としては
「従業員が事故を起した場合は、事由により就業規則に則り懲戒処分を行うことがある。また、車両保険の免責額を超えない範囲で当該従業員に請求することがある。請求額は都度、事故の原因、状況に応じて決定する。」
とされるのがよろしいのではないかと思われます。